文明の利器はもろく、原始的なものほど強い。

ほぼエッセイ

文明の利器は通常時は非常に便利なものですが、いざ非常事態がおきると途端に役に立たなくなったりするものです。というのも、高度なものほど前提する条件が厳しいからです。

もはや手放せなくなりつつあるスマートフォンもバッテリーが切れればただの文鎮です。ゆえにモバイルバッテリーが売れるわけですが、それとてどこかで充電する必要があります。つまり、そもそもある程度は安定的に電気が供給されないと使い物になりません。

さらに、スマホのほとんどの機能は通信を必要とします。インターネットと繋がっていないとその威力は半減します。となると電話回線網が生きていることも重要な条件となります。そのためには基地局が安定稼働する必要がありますから、やはり電力が必要です。

その先にはサービス事業者が存在しているわけで、現代の利便性は多くの要素が複雑に絡み合って組成されています。これらのどこかで機能不全が発生すると、結果的にサービスが利用不能になります。

もちろん、各種の要素は単体が障害を起こしても影響が広がらないように、冗長構成と呼ばれる二重化が行われるのですが、それでも多重障害が起きれば終わりです。構成要素が増えれば増えるほど危険箇所の数は増えることになります。

複雑化した現代の文明の利器は、そういった脆さの中に存在しているということを覚えておくべきでしょう。いざとなったときはシンプルなものほど役に立ちやすく、それは原始的なものなのです。

なんといっても、壁画や石に刻まれた文字が古来から残っていることが何よりの証拠です。

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