蔵書スペース削減としての書籍の電子化(その1)。

ほぼエッセイ

世に読書家はたくさんいますが、読んだ本の廃棄を推奨する人や積極的に捨てている人はそう多くはいないように感じます。ごく希に、蔵書は必ず本棚一冊以内に収めるという人もいますが、日々増える本に悩む人の方が多数派でしょう。

そんな読書家にとって福音となるのが書籍の電子化です。読むときには便利な三次元の書籍も、保管となると邪魔なだけです。よほど繰り返し読む本でない限り、一度読んだ本は電子データとして形のないものになって差し支えありません。

最近は「自炊」と呼ばれる行為もかなり有名になりました。書籍をスキャンして電子化する行為自体は十年以上前から行われていたものの、非常にニッチな存在でした。その後、メーカが積極的にドキュメントスキャナを一般消費者に売り出すようになり、閲覧に適したタブレットの普及もあいまって「自炊」が一般にも認知されるようになったのです。

しかし「自炊」には難点がありました。道具をそろえるのにお金がかかり、電子化の手間もばかにならないのです。高性能なドキュメントスキャナは10万円を超えますし、本を解体する裁断機も数万円と高額です。一冊一冊をスキャンし、ミスがないかチェックするには時間もかかります。蔵書の数が多いほど途方もない作業になってしまうのです。

そこに現れたのが「自炊」代行業者です。業務用のドキュメントスキャナや裁断機を使い、効率的かつ安価に読者の書籍を電子化してくれる…はずでした。2013年に東京地裁は「自炊」代行が違法であるとの判決を下したのです。これにより多くの自炊代行業者が廃業に追い込まれたようです。

では、読書家の取り得る次善の選択肢はあるのでしょうか?…。

蔵書スペース削減としての書籍の電子化(その1)。

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