老後のためにストック(貯蓄)を増やすだけでいいのか?

ほぼエッセイ

経済系の週刊誌を二誌ほど定期購読しているのですが、老後に備えていくら必要か?そのためにどうやって貯蓄するか?というテーマが必ず出てきます。ときに世代別の貯蓄傾向なども載っていて、物心ついたときには不景気だった20代は消費に関心がなく貯蓄に余念がない人が多いとか。

老後にお金が必要であろうことは確かだし、それなりに貯蓄が必要であろうことも間違いないでしょう。しかし、20代から倹約に努めて貯蓄だけに走るのが果たしてよいのでしょうか?

折しも

日銀は30日の金融政策決定会合で経済・物価の情勢展望(展望リポート)をまとめ、2015年度に続き16年度も2%程度の消費者物価上昇率が実現するとの見通しを示した。

出典:日経電子版

とのこと。

物価が上昇すれば、お金の価値は目減りします。政府の目論見通りに緩やかなインフレが続いたとすれば、現在保有している金融資産の価値は目減りする一方ということになります。これを防ぐためには最低限インフレ率と同等の利回りを確保し続ける必要があります。メガバンクの10年定期の金利が0.1%台のこのご時世であってもです。

そもそも20代ならば年金支給開始までは30年以上ありますし、支給開始年齢がさらに引き上げられる可能性も十分にあります。その間に、円が暴落するやもしれません。そんな不確定要素が多い将来を見たときに、貯蓄一辺倒というストック的発想に頼るのはリスクに思えます。

ストック(貯蓄)が必要だといわれるのは、老後にはキャッシュの流入にくらべて流出が大きくなるからです。キャッシュフローが赤字になるからストック(貯蓄)を取り崩して補填しようというわけです。そこにはキャッシュフローが赤字にならないように備えるという発想はありません。キャッシュの流入を維持あるいは増加させ続けるという発想がないのです。暗黙的に歳をとると稼ぐことが不可能という前提なのです。

この前提をそのまま受け入れるのはあまりに保守的です。時間的に猶予がある世代ほどこの前提を崩すことに注力しても良い気がします。つまり生涯にわたって稼ぎ続ける方法の模索です。

数十年先のために備えるべきはストックを最大化させることではなく、フローを最大(黒字)化させることでしょう。

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