語彙力は思考を加速させる。

ほぼエッセイ

ビジネス文書の書き方を扱った本を読むと

  • 平易な言葉で書く
  • レトリックは使わない

などとあって、極めてシンプルに書くことが推奨されています。つまりビジネス文書を書くに当たっては語彙力というのは重要事項ではないことになります。難解な語句を使って文章を書いて誤解を招いては本末転倒ですから確かにその通りではあります。

では、ビジネスパーソンに語彙力は必要ないのか?というと、さにあらず。

言語はその人の外的世界のみならず、内的世界つまり思考を司っています。脳内にいくら深遠な世界が広がっていたとしても、そこから汲み出せるのは言語化されたものだけで、それ以外は曖昧模糊とした存在です。

では、言語によって思考を汲み出すときに語彙力がないと無理かというと、冗長であることを許するならばなんとかなるでしょう。特定の事象なり感情を持っている語彙力で説明すればよいのです。あまり卑近な例ではありませんが、「素数」という語彙を持っていなくとも、「1 と自分自身以外に正の約数を持たない自然数で、1 でない数」と言語によって規定すれば問題はありません。

しかしそれでは思考が加速しません。一般により難解な語句はより複雑な事柄を適切に表現することが可能です。つまり一つの単語がもつ情報量は増加することになります。脳内のメモリは体感的には有限ですから、考えたい事柄を適切に表現している語彙を持っているほど一度にたくさんの情報を処理することができ、高速に思考を行うことができるでしょう。

やはり語彙力があるに越したことはないのです。

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