一冊本を読むと参考文献が参考文献を呼んで芋づる式に読むべき本が増えていきます。1それを見境なくAmazonでぽちると積ん読のできあがりです。
ビジネス・経済・人文系の書籍で、いわゆる「識者」が書いた本はなんらかの主張が盛り込まれています。こういった本に書かれている主張は本当に実社会に適合しているのかを検討する必要性が生じますが、そこまで行わなくとも有益な読書は可能です。
そういった類いの書籍では前半部分で背景の説明と現状の分析が行われます。例えば日本経済の行く末について語る本であれば、「失われた20年」についての分析がデータをもって行われるわけです。おそらく忙しいビジネスパーソンにとってはココが非常においしいところで、過去の総括と現状把握までを書籍が肩代わりしてくれます。無論、恣意的なデータの取り上げ方をしていないかや論理に飛躍がないかなどには注意する必要はありますが、基本的には公表されているデータをもとにロジックが組まれるのでそれほど突飛なことにならないはずです。
よく考えてみれば、これは学術論文でも同じことで最初にこれまでの背景があり、分析の上で問題を提起してからその研究者の成果へと話が移っていきます。なんらかの主張を行いたい文章なのである意味では当たり前かもしれません。
書籍にしても論文にしても、著者からすれば後半部分に書かれていることこそがキモであり主張したいことであるのは言うまでもないのですが、むしろ前半部分のほうが簡単に活用しやすいのです。ある分野について現状分析までは学びたいという場合は、その分野の本を数冊買ってはじめの半分から3分の2ぐらいまでをよめばかなり掴めるのではないかと思います。
ほんとうは後半の主張についてゆっくりと検討する時間があればなお深みのある学びとなるのでしょうが。
- ジャンルにもよりますが。 [↩]