24/365の功罪。[中編]

IT

24/365の功罪。[前編]の続きです。

前編では、「夜でも土日でも」というサービスの背景にはコンビニとITの二つが大きく関わっていることと、コンビニついて考えてみました。予告通り、今回の記事はITとそれに関わるSEの苦悩をお伝えします。

「24時間戦えますか?」

 バブル期が終わる頃の栄養ドリンクのCMで有名なフレーズです。これになぞらえて、いまでも「24時間働けますか?」などと使われることがあります。

人間というのは24時間ぶっ通しで働き続けることは出来ません。したがって、サービスを提供するための主たるリソースが人間だった時代、24時間のサービス提供には交代制が不可欠だったわけです。いまでも、警察・消防をはじめとする人間がいないと成り立たない業種は交代制ですし、コンビニがシフト制によって24時間の営業を行っているのは前編で述べたとおりです。

しかし、ITの出現とともに時代は変化しました。

コンピュータは24時間365日働くことができます。ときに故障をすることもありますが、人間と違って疲れを知らないので長時間労働をしても平気です。ATMにより24時間お金が引き出せるのも、Amazonで24時間お買い物が出来るのも、コンピュータ(ITシステム)があればこそです。人の介在を極限まで減らすことで、人間を24時間働かせることなくサービスを提供しているわけです。

さて、サービスが24時間提供されるようになり、サービスの受益者は便利な生活を享受できるようになりました。一方で、前回の記事では「便利に代償はつきもの」とも書きました。となると、ここでも代償を負った何かがあるはずです。それは、ITシステムを末端で支える運用SEなのです。

ITシステムの利用側の末端には必ず人間がいます。それはITシステムが人間のために作られていることからくる必然です。それと同時に、ITシステムが人間によって作られているという現実から、ITシステムの提供側の末端にも必ず人間がいるのです。

ITシステムの運用も効率化・合理化によってITを使った自動監視・自動運用の方向にはありますし、日常的に人間が必要な場合はオペレータと呼ばれる人が交代制で担当しています。しかし、いざトラブル発生となったら対応できるのは相応のスキルをもったSEです。したがって、社会や企業にとって重要度の高いシステムでトラブルが発生すれば、その運用SEやその責任者、ときに企業役員にまで即座に連絡がいきます。それこそ昼夜問わずです。システムが24時間365日稼働していれば当然の帰結です。

2012年2月の東証のシステムトラブルが最初に発覚したのは未明だったそうですが、そのときも東証のシステム担当者(構築を担当した富士通のSEだったようです)へはすぐに連絡がいったようです。

だいぶ長くなってしまったので、次回こそ、そんな運用SEたちの実態をお伝えします笑。⇒後編

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