思考の粒度をそろえることとMECEの関係。

ほぼエッセイ

前回のエントリ、「ロジカルシンキングを身につけるにはまずMECEから??」にからめてもうひとつ。

人間は目的地のわからない話を聞くのはあまり得意ではないのでしょう。発表など他人に説明する場合には、最初に全体の概要を(抽象的に)述べ、そこからトップダウン型に粒度を細かくして具体個別の話をし、最後にまとめとして抽象概念に戻るという形が好まれる気がします。

具体的事例をたくさんあげつらい、そこから共通的な概念を見つけ出して抽象化し、結論を導き出す。つまりボトムアップ的(帰納的)な思考は新しい概念を練り上げるときには有効です。しかし、できあがった概念の説明を受ける方としては、いったんはトップダウン型で説明されたあとに最後に抽象概念に戻してもらった方が受け入れやすいでしょう。

さて、この抽象から入って具体的な話に落としていくという手法ですが、使うときには注意点があります。それは途中で出てくる概念の粒度(抽象度)をそろえるということです。

例えば、最上位の概念して「人間」からスタートしたとします。そこから話を展開して、「男性」・「女性」と分類分けをすれば一段階抽象度がさがったことになります。次に、男性を「社会人」・「大学生」・「小中高生」・「未就学児」と分けて、女を「大人」・「子ども」とわけたらどう感じるでしょうか?

明らかに違和感があるはずです。それは、大人以外の部分の細分化が、男性の場合には大学生・小中高生・未就学児と分けているのに、女の場合には子どもと一緒くたにしているからです。つまり細分化の粒度(抽象度)が違うのです。

上記の例はあまりに極端であり、普通はそんなことはしないでしょうが、細分化する際に粒度がそろっていない事例というのはよく見かけます。抽象から具体という方向ではMECEにはなっているのですが、途中で粒度がズレているために同じ抽象度ではMECEで切れなくなっているのです。

漏れやダブりがなくとも、その中の各要素の粒度がそろっていないと考えるにも不都合ですし、他人に説明するときも理解を得られにくいでしょう。このあたりもよく考えてコミュニケーションをはかる必要がありますね。

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