リアル書店の棚の力。コンピュータ V.S. 人間

ほぼエッセイ

学生の頃は足繁く書店に通ったもので、おそらく週に2回以上は行っていたと思います。当時はビジネス書がブームだったこともあり、学生のくせにビジネス書の平積みが日々変わるのを観察していたものです。

よほどの指名買いでない限り、棚差しの本をいきなり手に取る人はいないでしょう。多くの人は、まずは通路に近い平積みコーナーか、ランキングの棚の本に目が行き、手に取るわけです。

となると、この平積みコーナーをいかに作るかが書店の魅力を左右し、ひいては書店の売り上げに影響を与えます。そして、売れた結果がランキングとして棚に再度反映されるわけです。

Amazonで本が当日中に家まで配達される時代に、書店へ足へ運ぶのはひとえに平積みコーナーを見たいからに他なりません。つまり、書店の棚作りのセンスこそがリアル書店の価値なのです。

一日に数百点の本が出版される中で、どんな本を仕入れるかは書店のバイヤーの力量にかかっており、その本をどう並べるかは書店員の力量に引き継がれるわけです。もちろん、どんな本を並べるかはその書店の客層にも左右されるでしょうから、単に書店側の力量だけで決まるわけではありませんが、ベースにその力量が位置するのは間違いないでしょう。

Amazonがデータによって本をレコメンデーションするのであれば、書店は書店員という人間が作る棚によって本をレコメンデーションしているといえます。

いまのところ丸善の丸の内本店などはAmazonの上をゆくレコメンデーションをしてくれていると筆者は感じていますが、果たして今後はどうなるか?

ここでもコンピュータと人間の戦いが繰り広げられているのです。

タイトルとURLをコピーしました