既存メディアで一番絶滅に近いのは?

ほぼエッセイ

スマホにカメラが付き、SNSで即座に情報を配信できる時代においては、速報レベルのニュースは誰でも発信できます。つまりニュースの速報性という観点からは、既存のメディアが脅かされているわけです。

とはいえ、このような事態は今に始まったことではありません。ラジオが登場したときには新聞がこの問題に直面したわけですし、ラジオとて映像ごと配信できるTVには脅かされたわけです。

そういう意味では、新聞はかなりしぶとく生き残っていると言えるやもしれません。

ラジオやTVというのは速報性には優れているものの、保存性は劣ります。もちろん録音・録画という手段はありますが、基本的には一度きりで消えてゆきます。後から手に入れようとしてもその手段は十分には整備されていません。

新聞はというと、個人でも「スクラップ」という行為があるように、紙媒体(アナログ)であるがゆえに保存性に優れます。新聞社でも過去の記事を保存しており、それらを必要に応じて提供するサービスもあります。

情報の鮮度が落ちて価値がなくなったものを「古新聞」とよんだりもするように、新聞はあっという間に価値がなくなってしまいます。一方で、スクラップ記事などは古いものがあるからこそ価値が出るわけです。

保存性に加えて、新しさと古さの絶妙なバランスが、デジタル全盛の昨今においても新聞を生きながらえさせている一つの要因かもしれません。

そうなるとネットメディアが盛り上がるほどに苦しくなるのはTVなのかもしれません。いまのところTV番組で論説というのは希ですから、この点でもネットメディアの後塵を拝します。ラジオはドライバーなどに一定の根強い需要があって生き延びていますが、テレビに何らかの根強さがあるかどうか?

ネット時代になってから既存メディアの凋落がしきりに取り沙汰されますが、既存メディアの中でも最も新しいTVが最も弱い立ち位置にあるのやもしれません。

タイトルとURLをコピーしました