人間は色のついたメガネしか持っていない。

思考

世の中を生きていく上で、客観的な視点というのは持っている方が何かと好都合です。特にビジネスの世界や異文化コミュニケーションの世界においては現状を俯瞰して見られないと、相手に適切にメッセージを伝えられないので重宝されます。

しかし、あいにくのところ、人間が持ち得るのはせいぜい客観「的」視点であって、客観視点ではありません。つまり、客観ぽくはあるが主観が混じるということです。物事をどこまで客観的にみられるかは配合される主観の割合をどの程度まで減らせるかであるといえます。

もし、「自分は客観視点を持っている」と思うのならば、その時点で何か勘違いしていると思った方がよいでしょう。実験によれば、ある能力に関して自分は平均を上回っているか?という問いに、半数以上の人がYesと答えるそうです。(前提として正規分布なのかとか、中央値はどこなのかという問題はさておき、)これは人間が自分の能力を客観視できていない事例のひとつともとれます。

あるいは、より卑近な例としては伝言ゲームがあげられます。このゲームにおいてはは本来は主観など混ぜる必要がありません。言われたことをそのまま次の人へ伝えればいいのです。しかし、人間がそこに主観を混入させて解釈を行うから、伝言ゲームで面白い回答がでてくるのです。

前述の通り、主観を混ぜないと言うことは入ってくる情報に対して解釈を行わないということです。解釈とは自分の考えに基づいて情報を編集することですから、明らかに主観が混入します。したがって、もし客観視しているのだとしたら何の解釈もせず、感情的にも何も感じないということです。

本当に世界を客観視したとしたら、単なる事象が無限に存在するだけの異様なほど無味乾燥な世界に見えることでしょう。人間は色メガネを通してしか世界を見つめられないし、しかしだからこそ彩りのあるこの世を楽しむことができるのです。

このあたりは、ひとつ認識として持っておきたいところです。自戒を込めて…。

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