それはいつか来た道。Amazon V.S. 家電量販店

思考

Amazonの日本国内での売り上げは2012年に7000億円にのぼったそうです。日本の小売市場の規模は100兆円を超えるようですからまだ1%にも満たないですが、Amazonの存在感はずいぶんと増してきました。

最近では電化製品の価格が大手量販店よりもAmazonのほうが安いということも多くなりました。量販店はネット価格にも対抗する姿勢を見せていますが、果たしてどうなるか。

昔は家電はいわゆる「まちの電気屋さん」で買われていました。それらの電気屋さんは大手メーカーの特約店として電化製品の普及に一役買ったわけですが、ディスカウントをウリにする家電量販店が台頭するにつれて減少することになります。

家電量販店は大量の商品を入荷し販売することで、メーカに対する価格交渉力を強めています。大口であるほど値下げ交渉をしやすいことから大手の量販店ほど安売りで勝てるため更に強くなるという循環になりました。中規模の量販店は苦しい戦いとなり、家電量販店は合併を繰り返しています。最近では大手数社に収斂してきたようです。

そこに現れたのがAmazonという黒船です。AmazonはWebでの通信販売ですから店舗がありません。店舗がなければ展示品や展示スペース、商品説明のスタッフも必要ありません。したがって販売にかかる経費は量販店に比べて小さくなるであろうことは想像に難くありません。商品を見て変えないというデメリットもスペック表で比較できる家電ならある程度カバーできます。場合によっては家でじっくりと比較できる分だけ店頭より良いかもしれません。

Amazon.co.jpの商圏はもちろん日本全国ですから、おそらくそれなりの販売量が見込めるでしょう。それは入荷の際の価格引き下げにつながります。すでに商品によっては最安値がAmazonということもめずらしくなくなりましたが、今後Amazonでの購入が伸びれば、家電量販店と同じ理屈でさらに値下げ余地が生まれるかもしれません。

そうなると苦しいのは家電量販店です。規模でAmazonに追いつかれてしまっては店舗がある分だけ量販店はコスト高です。都心の駅前店舗は単位面積当たりの売り上げが高いといわれていますが、コストも相応に高いはずです。一方のAmazonは郊外の倉庫で商品を在庫し、配送するだけです。

家電量販店が「まちの電気屋さん」を窮地に追い込んだように、Amazonが家電量販店を窮地に立たせるのかもしれません。

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