翻訳書の章頭にみる名言たち。

ほぼエッセイ

翻訳書を読むと結構な確率で章の始めに名言が書かれています。和書ではほぼ皆無なので、洋書ならではの風習なのだと解釈していますが、自分の主張に名言を使うというのは非常に効果的です。

人間は権威に弱いということが心理学的にはわかっています。「○○の認証を取得」などというのは、一定の基準を満たしていることを証明するだけではなく、そこに権威を付加することで人々への影響力を高めているわけです。

冒頭の名言についても同じことが言え、その章の内容を端的に示唆するだけでなく、有名人による名言によって権威が付加されています。それにより、あたかも有名人のお墨付きかのような影響力を無意識的に与えるのです。

これを意図的に行うことを「あざとい」と見る向きもあるかもしれません。しかし、読者に対して作者の主張がより強く伝わるのであれば、読者の理解も深まり双方にとって望ましいとも考えられます。また、一冊の本を読むことで、様々な名言におまけ的に触れられることは読者の教養を深めるのにも一役買ってくれることでしょう。

和書でも名言が載るようになれば、日本の色々な名言に触れることができてうれしいのですが…。

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