日刊であることがむしろ足かせに見える新聞。

評論

ビジネスパーソンなら日経新聞ぐらい読むべき、という風潮があります。新入社員の研修用にと日経新聞の購読と日経TESTをセットにしたプランが用意されるほどです。しかし、いまの情報化社会において必須なのかというと疑問です。

インターネットが登場する以前に個人が企業や経済の動向を知る術はほとんどありませんでした。テレビのニュースは経済に特化したものは少ないですし、企業のプレスリリースだったりリアルタイムの株価も気軽にはチェックできません。そういう時代背景においては経済に特化した日刊新聞というのは意味があったと思います。

インターネットが登場したことで世界は変わってしまいました。即時性に関してはTVが登場した時点で脅かされていましたが、インターネットとの戦いではもはや日刊では情報としての鮮度が保てません。その証拠に新聞各社はWebサイト上に随時記事を公開するようになりました。

情報を広く公開することもインターネットがあれば簡単です。企業もプレスリリースを自社のサイト上に公開していますし、リアルタイムの株価を好きな場所でみることも可能になりました。SNSでインタラクティブなやりとりをすることさえ可能です。

情報の編集を行ってくれるという新聞の特徴もメリットと言えるかどうかは疑問です。日刊である以上は日々の出来事が書かれるわけですが、個別の出来事から世の中の大局を考えるのには少々ムリがあります。一面トップで「失われた20年を考える」などという特集は組めないのです。もしかするとその欠点を補うために社説というものがあるのかもしれませんが、それすらネット論壇がある現在では存在感が小さくみえます。

即時性で優位に立てないことが明らかであっても、新聞であるゆえに日刊であることは避けられない。なにか強力なコンセプトがないと生き残るのは厳しい気がします。その点では一般紙よりは経済に特化した日経新聞はまだ戦えるのかもしれません。

 

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