定額に走る通信業界とその上で儲けるソーシャルゲームの構図。

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auスマートパスの広告を見ていて、なぜこうも通信業界はすぐに定額制に走るんだろうと。自らの限界を決めて首を絞めに行くのだろうかと。

auスマートパスとはKDDIが今春始めた、月額390円で500以上のアプリがダウンロードし放題というAndroidスマートフォン向けのサービスです。
確かにiPhoneに比べてAndroidユーザは有料アプリのダウンロード数が少ないと言われていますし、仮にダウンロードされてもキャリアの収益とはならないことを考えるとキャリアが収益をあげる手段としては悪くはありません。サービスを解約するとアプリが使えなくなる仕組みであることから半永久的にユーザから利用料を取り続けることが出来るメリットはあります。ただ、あまりにワンパターン過ぎるのです。

ガラケー時代にも月額制のサービスは携帯キャリアの得意とするところで、様々なサービスが月額課金されていました。なかでも「安心ケータイサポート(auの名称、各キャリアで同様のサービスあり)」は、商売としては非常に優れた手法だと思います。月々数百円を保険料として延々とユーザから徴収しつつ、キャリアの金銭負担は限りなく小さい濡れ手に粟なサービスです。もちろん、ケータイが故障等に見舞われたユーザは保険適用を受けることになりますが、そのようなユーザを加味した上での料金設定でしょうから低リスクでミドルリターンなサービスです。

一方で、月額制でも「~し放題」なタイプというのは、おそらくパケット定額がその先駆けだと思われますが、ミドルリスクミドルリターンなサービスです。スマートフォンの普及でハイリスクミドルリターンになったかもしれません。
この手のサービスはユーザが使えば使うほどキャリア(サービス提供側)の負担は増えます。一方で、定額制を敷いていることから売り上げの最大値は「月額料金×キャリアの回線数」を超えることはありません。つまり、想定を超えるユーザの利用があった場合には下手すると損失を被るビジネスです。すでに、スマートフォンの普及で逼迫しつつある回線帯域をアプリのダウンロードや利用によってさらに逼迫させるリスクを負いつつリターンは一定以上には伸びないおいしくないビジネスモデルです。

ソーシャルゲームが、原則無料でお金を払うユーザには際限なく課金して収益を伸ばしているのとは対照的です。そのソーシャルゲームのインフラとなっているのがキャリアであると考えるとなんとも皮肉です。もちろん昨今のソーシャルゲームのビジネスには逆風も吹き始めていますが、資金余力のある人間からお金を徴収するというのは税金でも導入されている極基本的な考え方です。
そう考えると、スマートフォンの中心に位置するアプリという存在からはもう少し収益を上げられるビジネスモデルを考える必要があったのではないかと思えます。せめて金額別にダウンロード数に上限を設けるとか、フリーミアム的なモデルを導入するとかいろいろあったのではないかと。

もちろん、ユーザからすれば低額な定額でし放題なサービスが一番うれしいのでユーザサービスとしては高評価ではあるのですが。

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