知識労働者に与えられている特権。抽象の世界を高速移動する。

思考

いくら機械化が進んだところで、人間の行いすべてを機械が代替できるとは思えないので、肉体労働はなくならないでしょう。そういった仕事は世の中に必要とされているから存在するのであって、肉体労働者も世の中に貴重な価値を提供していることは間違いありません。

とはいえ、労働人口の減少とコンピュータ・人工知能の発達を考えると徐々に肉体労働者の割合は減っていく(減らさざるを得ない)可能性は高いと思われます。相対的に知識労働者が増加することになるでしょう。

肉体労働の生産性はかなりの部分が「労働時間」に依存することは間違いないでしょう。一部の職人をのぞけば、体力などの肉体的資本が価値の源泉なので仕方がありません。

一方で知識労働者の生産性は必ずしも「労働時間」に依存しません。だからこそ優れたクリエイターは高額の報酬を手にできるわけですし、「労働時間」にひもついた現在の給与算定方法が崩壊しつつあるのもそれが一つの要因でしょう。

なぜ、知識労働者の生産性が「労働時間」に依存しないかというと、肉体的資本ではなく知識資本=脳に依存するからではないでしょうか。知識労働者の成果は思考の産物です。

この思考を高速に回転させるときに極めて有効なのが、抽象概念です。具体個別の世界では時間がかかることも、抽象の世界に移動して抽象概念の操作として行えば、相当に高速化が可能です。

抽象の世界には先人達が編み出した問題の解き方や取り組み方が色々と備わっているからです。抽象の世界で高速に思考し、最後に再度具体の世界に落とし込めば良いのです。

これは知識労働者が使える特権といえるかもしれません。逆に考えれば、これができないと秀でた成果はあげられないということかもしれませんが…。

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