思考において具体からはじめて、どこまで抽象度をあげられるかが勝負。

ほぼエッセイ

二項対立となる関係は沢山ありますが、「具体」と「抽象」の関係は非常に重要なもののひとつと考えています。こと思考においては最重要といっても過言ではないかと。

多くの人は具体(例)をいくつか目の当たりにしてから、それを抽象化した概念(考え方)を学ぶという手順で抽象を理解します。学校で習う科目では数学や物理が典型的で、最初に具体的な事例や実験などが出てきて、それが定理や公式という形に抽象化されます。いきなり抽象を理解できるのならよほどのキレ者でしょう。

ときに理解するためには具体から抽象だけでは不十分で、定理や公式に具体的な値をあてはめて、再度具体の世界に戻すという作業をします。例題とか練習問題がそのための題材です。こうして具体と抽象の間を往復することで抽象概念を理解していきます。

沢山の具体に対して、共通する重要な部分を抜き出すことで、抽象が生まれます。つまり沢山の具体に対して抽象は少数になります。一つの抽象を知っていれば、そこから複数の具体を見いだすことができるとも言えます。

複数の具体を見たときにひとつの抽象として理解できるという点が、抽象を理解している一つのメリットです。脳内で具体と抽象を結びつけるだけなので理解も早いですし、新たに覚えることも最小限で済みます。

もうひとつのメリットは、抽象を知っていると思考の速度あげることができるという点です。抽象では重要でない具体個別な部分は捨てていますから、枝葉末節にとらわれることなく重要な部分だけをたどって思考を回すことができるのです。

さらに、複数の抽象をまとめ上げてさらなる抽象を作り出すこともできます。「抽象度をあげる」ということです。抽象度があがるほどに一つの抽象でカバーされる具体の幅は広がります。傍目には全く異なる具体を抽象で結びつけて理解することができるようになるのです。

前述したように思考は抽象で行う方が速いので、より高度な抽象を理解していることで、広範な事象を結びつけて考えをめぐらすことが出来るようになります。したがって、思考においては抽象のレベルをどこまで上げられるかが非常に重要ということになります。

と、ここまで書いて、このエントリにほとんど具体が入っていないことに気づきました。冒頭で、人は具体をみて抽象を理解すると書いたのに…。

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