二極化した労働市場に物価上昇がやってくるとき。

経済

年末より続いている株高は、アベノミクスとよばれる経済政策への期待感の現れなのでしょう。2013年1月の有効求人倍率もリーマンショック前の水準までもどってきたということで労働市場も明るい兆しとのこと。

さて、そうやって経済が好転していったときに庶民の生活はどう変わるのでしょうか。筆者は経済学の専門家ではないので、経済学的な議論はできませんが、ロジックで推論してみます。

現在、インフレ目標として2%が設定されています。それが達成されるときには経済成長もそれなりに軌道に乗るということなのでしょうが、果たして労働者の賃金が上がるかどうか。労働者の賃金があがらないままインフレになれば生活はむしろ苦しくなります。

リーマンショック前にかなり景気が改善した時期がありました。雇用情勢は良かったので、新卒採用がかなりの売り手市場になるなど職に就ける状況だったはずですが、労働者の賃金にはほとど還元されなかったといわれています。

今回、大手企業などは一時金(ボーナス)の増額を検討し始めてはいますが、固定給の増額には慎重な姿勢を崩していません。一時金の増額で潤うのは正社員だけです。ここしばらく増え続けている非正規雇用者のほとんどは一時金の恩恵にはあずかれないので、はたしてどれだけの労働者の消費力が上昇するかはまだわかりません。

さらに、すでに労働市場が二極化していることが事態を複雑にします。街を歩けばわかりますが、サービス業では安い労働力がないと厳しいであろうものがたくさん目に付きます。牛丼チェーンの安価なメニューは人件費があがれば苦しくなるでしょうし、均一料金をはっている居酒屋も同じことです。あるいはツアーバスにしても集合場所で受付をするスタッフや運転手の人件費が上昇すれば価格に跳ね返るでしょう。このようなサービズ業は安いことが一つのウリなのでそう簡単に値上げできるとは思えません。

また、製造業の現場のような労働集約型の職場では、生産量を増やすときには人が増えるので、企業が増収になっても一人ひとりの労働者(特に非正規雇用者)の賃金は増えないかもしれません。

二極化した労働市場の片方は労働力が安いからこそ成り立っているという側面があります。そうすると果たして簡単に賃金が上昇するのかというと、甚だ疑問です。

でも、みなの賃金が増えなければ消費は活発にならないとおもうのですが…。

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