二極化した労働市場の更に先。

思考

昨年末より円安株高と金融市場の方は賑わいが戻りつつあるようですが、労働市場はというと統計数値待ちというのはあるでしょうが上昇基調になったかは不明な様子。

ニュースを見ていても、大企業が度重なるリストラを実施している一方で、業界によっては人手が足りずに賃金単価は上昇するという複雑な状況です。うまいことすべての労働者が職を得てかつ雇用側も労働力を得られるようなシナリオはないものかなどと思案をしてみたものの、こと現代日本においてはそれはムリなのだろうと気づき暗澹たる気持ちになります。

非常に単純化すると、現代の日本では次の二種類の労働者が求められています。極めて大きな価値を生む知識労働者と代替可能な労働力としての単純労働者です。そして、今後もその傾向は続くであろうと考えられます。情報革命の名の下に実際には多くの労働者が職を失いました。それは退職による自然減という形で行われたこともあれば、リストラという強制的な形で行われたこともあります。日本を牽引してきたといわれる製造業の従業員数は昭和60年をピークに大幅に減少しています(経産省発表)。にも関わらず、出荷額は増加しているので、産業自体が縮小したのではなく、自動化が進み工場からは人がいなくなったということです。見方を変えれば労働生産性が向上したとも言えます。

先進国では低いといわれる日本の労働生産性は、実のところ製造業の高い労働生産性に底上げされておりサービス業の労働生産性は極めて低いといわれています。とくに小売り・飲食など接客をともなう業種は労働生産性は向上しにくいでしょう。つまり、高い労働生産性を実現する仕組みを考え出す一部の知識労働者しか就業できない世界と、生産性の低さを人数でカバーせざるを得ない世界の二つに分かれることになります。

ここに格差社会が出現する理由があるわけです。しかし、さらにITが進化してサービス業でも無人化が到来するとしたら、製造業で起きたことが再現されるやもしれません。そうなると格差社会にすら組み入れられず失業する人が増えるのかもしれません…。

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