可視化せずに価格をつける。

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さて、昨日の続き。
IT業界でも目に見えないモノを目に見えないままで値段をつけている例をあげて考察すると予告しました。

その形態の最たる例は、「ライセンス」です。コンシューマ向けのソフトウェアもそうですが、ソフトは別にあの円盤に値段が付いているわけではありません。ソフトを利用する権利に値段がついているのです。それはソフトの使用許諾契約にも謳ってあります。
つまり、一見すると目に見えるモノを買っているような気がするが、実際には「利用権」という権利を買っているだけで、この権利は可視化されていません。

この形態の、最大のメリットは工業製品のように量産可能だという点です。
情報システムはほとんどが(カスタム)オーダーメードで人間がつくる労働集約型の製品なので、大量生産するために大量の人が必要でそれだけ人件費もかかります。したがって、安価に量産することは難しく、損益分岐点通過後の利益の増加は小さなものになります。
一方で、ライセンスというのは一度その契約形態を定めてしまえば、生産人員の制約を受けないため売れば売るほど儲かります。損益分岐点を通過してしまえば、いっきに収益が上がります。コンシューマ向けでは、Microsoftがその最たる例でしょう。ビジネス向けだとAdobeやOracleがライセンスで大きな収益を上げています。

このような比較をすると、「個別につくるシステムとパッケージのソフトを比較するのはナンセンス」という主張が出てくるやもしれません。そこで、次回はある程度個別につくりつつ可視化せずに価格をつけている新たな形態に注目します。

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