公共交通機関の価格破壊。

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先日、ANA系列のLCCが国内での就航を始めたことから、公共交通機関でも価格破壊が起こるのではないかという論調がありますが果たしてどうか。

公共交通機関の価格破壊は実は以前からあります。規制緩和によりツアーバスの形をとった高速バスが台頭したときから長距離移動はだいぶ価格が安くなりました。東京-名古屋、東京-大阪が3~5千円で容易に移動できるようになりました。時間はかかってもいいから安く済ませたいという若年層などを中心にかなり定着しているように思います。ただ、この「時間がかかる」という欠点からビジネス用途としては限定的な利用にとどまっているようです。
航空機としてのLCCは、この欠点はありません。デメリットとしては、狭い・サービスが最小限といったところでしょうが、搭乗時間の短い航空機であればこのデメリットよりは価格の安さというメリットがより大きく見えることでしょう。
これまでの公共交通機関は移動距離に比例して価格が上昇していましたが、こういった価格破壊により200km程度から600km超までが3~5千円のレンジに入ってくるという不思議な状況が生まれました。

このような状況をうけて、既存の交通機関も値下げするのではないかという論調もありますが、おそらく値下げはきわめて限定的でしょう。「公共」交通機関は「公共」の名の通り、一定の需要がある場合には採算が合わなくとも交通機関として運行する使命があります。実際に、JRは新幹線や通勤路線で稼いだ利益で不採算の地方路線の補填をしています。ドル箱路線がない本州以外のJRが厳しい経営を迫られているのは周知の通り。一方で、LCCなどは経済原理の中で儲かる路線のみを運行することで低価格を実現しています。したがって、同じ移動手段を提供する事業者でありながらその性質が大きく異なるのです。

ただし、例外としてJR東海は不採算路線が他のJRに比べて少ない上にドル箱である新幹線で大きな利益を上げているので、LCCが羽田-関空を5千円ぐらいで就航できたなら対抗してくるかもしれませんね。

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