光があれば、陰はできる。~物理的距離を題材として~

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取り上げるのは、物理的距離をどう考えるべきかというテーマです。

 

「世界はフラット化する」とトーマス・フリードマンは著書の中で述べました。21世紀の経済圏は物理的な距離が縮小し、全世界が同一の競争条件で戦うことになるという趣旨の主張があり、出版当時は物議を醸しました。物理的な距離の縮小、つまり物理的な距離を仮想化するための重要な技術がインターネットです。

ネットバブル期に敷設された海を渡る光ファイバーのおかげで、全世界と即座に通信できる環境がすでに整っており、これをインフラとして活用することで物理的な距離を以前よりも縮小することが出来るというわけです。

これにより、物理的な距離が障壁となり不可能だったことが可能になります。著書であげられている例はインドなどへのオフショアです。アメリカの事務所で発生した事務処理などをアメリカ時刻の夕方にインドに発注する。すると、そのころインドは業務が開始されるので、アメリカ人が寝ている間に処理が進みます。そして、翌日にアメリカの事務所が稼働し始めるときにはすでに処理結果が戻ってきていると。

 

クラウドコンピューティングもインターネットがあるからこそ実現したひとつの技術体系です。クラウドの名の通り、実際に処理を行うサーバは雲の中=世界のどこにあるかは不明にもかかわらず、インターネットがあることで物理的な距離をほぼ無視して適切なサーバに処理を回すことが出来るわけです。実際に、Googleなどは世界規模でサーバを展開しているので、空調効率の良い夜間帯の地域のデータセンターへ処理を回すなどして効率化をはかっているといえます。

 

物理的な距離の障壁が低くなると言うことは、それだけ悪の伝達速度も速くなるということです。たとえば、交通の発達ともに伝染病の伝搬速度が速くなったのは有名な話です。現代では航空機ネットワークによって全世界が結ばれていますから、あっというまに伝染病が広がる恐れがあります。

これはもちろんコンピュータの世界でも同様です。コンピュータの世界にもウイルスは存在しますし、ネットワークも存在します。したがって、ひとたびウイルスの拡散が始まればその伝搬は世界レベルに及びます。

 

光があれば、必ず陰が出来ます。そこが無の空間で無い限り。そこにどう対応していくのかが、文明の発展なのかもしれませんね。

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