さて、ネット通販といえば言わずもがななAmazonです。AmazonはIT系の企業のカテゴリに入るかと思いますが、他のIT企業とは違った特徴があります。今回はそれをネタにします。
Amazonという企業は現在は電子書籍を取り扱ったり、クラウド事業でAWSを提供するなど、米国ではかなり広範にITを取り扱っていますが、日本では専らネット通販事業で有名です。
ネット通販というものが他のIT企業と違うのは物流を伴うということです。SNSや検索エンジン、ポータルサイトというのは基本的にITあるいはWebという空間で閉じています。しかし、ネット通販という業態はITに物流というリアル世界への拡張が行われています。そもそもネット通販というのがリアル世界で行われていた商取引をネット上に移せる部分だけ移転させたという見方をするならば、リアル世界にも依存するのは当然かもしれません。
物流が絡むということは、リアル世界に設備を持つということで、換言すれば大がかりな設備投資が必要だということです。この点は、リアル世界に比べてイニシャルコストが小さく損益分岐点が近いといわれるWeb世界から離れるということです。事実、Amazonは上場後もしばらく赤字だったようなのでその損益分岐点までの距離の遠さがわかります。
設備投資が必要で損益分岐点が遠いということは、それだけ参入障壁が高いということです。したがって一朝一夕にAmazonを超えるネット通販企業がITの世界から出てくることはないでしょう。可能性としてあるのはすでに物流拠点を持っている小売り業界などがネット通販で勢力をのばすというパターンです。ネットスーパーなどはそのパターンと言えるでしょう。
なお、楽天とAmazonが比較されることも多いですが、両者はその出自たる業態が違うので一概に比較対象になるとは言えないと筆者は考えています。
どうちがうのかは、「Amazonと楽天の違い」にて。