生き残りバイアスに注意せよ。

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前回の記事について補足というか追記です。

 

成果をあげた人の共通点を探り出したところで、それは成果をあげるための必要条件に過ぎず、十分条件になることはないと書きました。それは、成功していない人たちにどういう特徴があるのかについては全く注意を払っていないことが一因です。

成果をあげた人を考えるときは、常に生き残りバイアスに注意する必要があると筆者は考えています。たとえば、ダイエットや健康によいとされるなんらかの食品だったり手法を宣伝するときに「3ヶ月間この方法を用いた人の○%が効果を実感!」などという表現があります。一見すると、○%の人に効果があるように思えますが実のところ違います。なにもそれは「※効果の実感には個人差があります」という定型句のせいではありません。そもそも、3ヶ月絶たずに挫折した人っていなかったの?と。あるいは、そもそも何もしなかった人と比べてどうなの?という比較が抜けているのです。この場合で言えば、「3ヶ月」という期間を生き延びた(続けられた)人だけが母集団になっていて、そうではない人はそもそも考慮されていません。

最初の話に戻るならば、成果をあげた人の共通点を探すことは、上の例でいう3ヶ月間の実験に耐えてかつ効果を実感した人の共通点を探しただけです。途中で挫折した人やなにもしていない人がどうなったかは考えていません。

人はなぜか「Aという命題が正しい」ことを示したいときに、Aが正しいことを支持する証拠集めに走りますが、実はAが正しくないことを示す反証探しの旅に出てみるほうが結果としてより強くAという命題が正しいことを確信できるというのは、以前に書いた記事(帰納的に一般化するときは証拠を探すのではなく、反例を探す。)の通りです。ジョージ・ソロス氏は相場を張るときに、自分が立てた仮説が間違っていると示す例を探し続けるそうですが、氏がそれにより大金を手にしたのもうなずける話です。

 

このあたりの話については、『ブラックスワン』が詳しいので興味のある方はご一読を。

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