知識資本の時代とは世界観を売る時代?

思考

■IT業界のよくある話として、システムがほぼ出来上がった段階でお客様から多数の要望が出てくる、というものがあります。ITシステムの仕様を決め、コーディングを行い、プログラムができあがった段階でお客様に見せると、 「ここもっと○○にならない?  こっちは××にしてほしい。  あと△△の機能も追加して」と、色々な要望が出てくるのです。ITシステムを作る側としては、大幅に工数が膨らんだり、そもそも設計が根底から覆る場合もあるので、まったく笑えない話です。

■しかし、ITシステムというのは実際にプログラムを書いて動く状態までいかないと、ユーザとしてはイメージがわかないので、この手の反応はある意味では当然のことかもしれません。モノを見て始めて、ああしたい・こうしたいというイメージがわいてくるのです。

■それでも、ITシステムの場合には完成すれば人間の目に見える部分(ユーザーインターフェイス)があるだけ、まだマシなのかもしれません。知識資本の時代には、最初から最後まで可視化されないまま終わるものも多々あります。

■コンサルティングやコーチングといったものは納品「物」があるわけではありませんし、企画やアイディあというのもそれ自体は目に見えるモノではありません。(企画書という形で可視化することはあるかもしれませんが。)

■このような目に見えないモノに値段をつけて提供する場合には、お客様に目に見えないモノに価値を感じていただき購入していただく必要が生じます。しかし、ITシステムの例をあげたように人は目に見えないモノは苦手です。となると、商品の購入後にどういう生活が待っているかを説明するという形になってきます。換言すると新しい世界観を提示することになります。知識資本の時代には、世界観を提示できるかどうかが非常に重要なポイントになるということです。

■ただ、よくよく考えてみると、目に見えるモノであっても特に高級品の場合には同じことが行われています。TVのCMなどを見ると顕著にわかりますが、直接的に商品の宣伝をしているのは身近なモノが大半です。高額品・高級品になるほどイメージ映像に近いものとなり、新たな世界観を想起させるものが多々あることに気付くはずです。

■つまり、いままでも新しい世界観を提示してモノを販売するということは行われていたのですが、これからは新しい世界観を提示して知識を提供(販売)するということも多くなるということでしょうね。

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