凡人が新しい抽象概念を理解するには具体例が必要。

ほぼエッセイ

このBlogでは「抽象化」とか「一般化」をテーマにしたエントリを量産していますが、抽象概念をいきなり理解できるほどの能力は筆者にはありません。そして、世の大多数の人もそうなのではないでしょうか。

では、人は抽象概念をどうやって理解しているのでしょう?

最もポピュラーな方法は、具体から抽象、抽象から具体への流れを自分で追ってみるという方法です。数学の授業はこのパターンです。最初に極めて具体的な例を見せられ、それを公式化(=抽象化)し、練習問題で実際に公式を用いて抽象から具体への再展開を経験することで理解するのです。

ちなみに、数学の事例だと公式の丸暗記となる場合も多いわけで、応用問題になると手が出ないケースがよくあります。それは、具体例から公式へと抽象化する流れを体得せずに、抽象化された結果である公式だけを覚えているからです。「具体←→抽象」を行き来できるようになっていないのです。

抽象概念を理解するもう一つの方法は、既知の抽象概念と対比させアナロジーを使って理解する方法です。新しく登場した技術の理解にはよく使われる方法です。すでに何らかの抽象概念を体得している大人が新たな分野を学習するときにも使われます。「○○でいうところの××」と表現される場合がこれに相当します。

既知の抽象概念であれば「具体←→抽象」を行き来できるはずなので、それとアナロジーをつかって対比させていくことで、新しい抽象概念でも「具体←→抽象」を行えるようにするのです。ここでも、忠実に理解するためには自分の脳内で「具体←→抽象」をを自在に行えるようになる必要があります。

おそらく、二つ目のこの方法の方が理解は早くなるのですが、既存の抽象概念を利用するので、明らかに一つ以上の抽象概念を体得している必要があります。それも、アナロジーが適用出来る抽象概念である必要があります。そして、アナロジーが使える抽象概念というのは、ある意味ではそれ自体が一つの具体例のようなものです。

そう考えると、目に見える具体例を抽象化する道筋を実際に追ってみる方法が基本と言えるでしょう。やはり具体を知らずして抽象の世界に行くことは出来ないのです。ごく一部の天才を除いて。

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