最初の一回が面倒なゆえに挫折して、何度も面倒になる。

ほぼエッセイ

「貯蓄から投資へ」なんて政府が言いだしたのはだいぶ前だと思うのですが、実際には貯蓄派が大多数のようです。

日本証券業協会の発表する「全国証券会社主要勘定及び顧客口座数等」によると、2014年3月の顧客口座数(個人)は約2150万口座です。5人に1人にも満たない数ですね。一人で複数口座使っている人もいるだろうことを勘案すると個人投資家人口はもっと少ないと予想されます。

世の中には、投資に興味はあるけど口座開設をするという部分の面倒さで脱落している人が相当数いるのではないでしょうか。スマホでも申し込みまでは出来るのですが、取引を始めるまでには最低一回は郵便物を受け取る必要があります。たいていは書類にはんこをおして送り返す作業もあります。まぁ途中で忘れますよね…。

こういった類いのことは証券口座だけの話ではありません。例えば、ネットバンキングにしても最初の申し込みが面倒で使っていない人は相当数いるでしょう。公共料金の自動引き落としも同様です。JRのEX-ICなんかも最初の申し込みは手間がかかります。

これら手続きものは、一度済ませてさえしまえばあとは利便性だけを享受できるのですが、最初の一手間に挫折する人が多いのです。振込のたびにATMに行く手間や、毎月公共料金を支払い用紙を持ってコンビニ行く手間、みどりの窓口に毎回並ぶ手間を考えれば最初の面倒さなんて簡単にペイするにもかかわらずです。

このようなことになるのは、最初の手続きにはインセンティブが働かないのに対して、実際の振込や支払いには必要性という強制力が働くからです。合理的かつ長期的に考えれば最初に自らの意思でコスト(手間)を払っておいたほうがいいのに、それを疎むがあまりに毎回強制的にコスト(手間)を払わされることになるわけです。

人間がいかに刹那的に生きることが多く、非合理な行動をとるかの典型例ではないでしょうか。何事においても投資をしなければリターンはないわけで、利便性というリターンは最初にコスト(手間)を投下した人だけが享受できるというわけです。

この投資はローリスクハイリターンなんですけどね…。

 

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