ITとはEnablerであってProviderではない。

IT

常日頃から「ITは手段であって価値の源泉ではない」と考えているのですが、今日読んだ本がまさにそのことを述べていたのでエントリを起こします。

出典は「ドラッカー・スクールで学んだ本当のマネジメント」のChapter 7です。

冒頭にCaseがあり、要約するとおおよそ次のような感じです。

「情報化社会を制しないと生き残れない」と企業のトップが言って、情報システムありきでシステム開発がスタートする。SIerのSEは顧客の言うままに要件を盛り込んでパッケージをカスタマイズしまくる設計で設計フェーズが進む。

という、SEにとってはあるあるすぎる展開で話が進むのですが、幸いなことに顧客企業の取締役の見識ある言葉によって救われます。Caseはそこで終わりなので、システム開発が行われたかどうかは不明です。そのまま開発フェーズに進めばプロジェクトは炎上し、何とかリリースされたシステムは活用されず、保守コストだけが積み上がるのは間違いなさそうな雰囲気です。

本書では、

ITとは「Enabler(何かの実行を効率的に支援するもの)」であって、「Provider(それ自体が何かを新しく生み出すもの、何かを与えてくれるもの」ではない

と表現されています。

まさにその通りであり、単に情報システムを導入しただけで何かが解決されるわけでもなければ、ましてや利益があがるはずもないわけです。にもかかわらず、毎年のようにバズワードを生み出しては、それが利益の源泉になるかのように喧伝するIT業界とは一体何なのかと考えさせられます。

ITとは使いこなして始めて価値が創出されるのであって、技術として存在している段階では世の中に価値を送り出すことはないのです。それはなにもITに限ったことではなく技術全般にいえることなのですが…。

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