情報に対価を払うことでバイアスを買う。

ほぼエッセイ

前回は、「ネット上では情報の次数に気をつけよ。」ということで、ネット上の情報について次数の観点から考えてみました。今回は、ポジショントークを切り口に考えます。前回のエントリ内の単語で言うとバイアスです。

人間が何かを発信する以上、それは多かれ少なかれポジショントークになります。どんなに客観的に発信していようと、発信者の価値観・思想・考え方が投影されます。逆にそれらが全くなければ単なる事象の記述にすぎず、逆に価値が失われます。

ポジショントークであることは必然であり、場合によってはポジショントークであることが価値だったりするので、心得るべきはどういうバイアスがかかったポジショントークかを理解することです。

どんなバイアスがかかるか分かりやすいのは新聞でしょう。新聞は世の中の出来事に対してどういう立ち位置であるかを社説によってハッキリ示します。社説は毎日掲載されるので、「○○新聞は右寄り(左寄り)」なんて知らなくてもどういう編集方針かは読んでいけばわかります。その編集方針は当然、各記事にも適用されますから、一つの出来事によっても報道のされ方は変わるわけです。

翻って、ネット上では相対的にどんなバイアスがかかっているかわかりにくくなります。Googleの検索で引っかかる情報は断片的ですから、情報の発信者がどういうバイアスのかかったポジショントークをしているかを即座に判断することはできません。

著者のプロフィールがあれば、そのバックグラウンドから多少の推測は出来ますが、匿名の場合はそれも叶いません。blogや連載記事であれば過去の記事まで遡れば概ね分かるでしょうが、今度は時間がかかります。

だからこそステルスマーケティングが容易に成立すると言えるのかもしれません。

この問題は情報の次数にかかわららずついて回るので、単に情報の次数が低くなっただけでは解決しない問題です。

確度の高い解決策は有償の情報を選択するということです。有償であれば、発信者を選択することになるので、どのようなバイアスがかかるかを理解した上で情報を受け取ることができます。通信社でもない限りは、編集というバイアスをかけること自体が付加価値になっています。よって、同一媒体でバイアスがころころ変わる確率は低くなります。還元すると、選択的にバイアスを購入できるということです。

有償の情報を選ぶと言うことは、ある意味では情報の確実性を手っ取り早くあげる一手法といえるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました