コストや価格が下がることは望ましいのか?

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昨日の記事で、人件費比率の高い産業でコモディティ化が起きると厳しいという話を書きました。そこから少し発展させて考えてみます。

コモディティ化したものが止めどなき価格競争が発生するのは、価格以外に差別化要因がなくなることが大きな要因です。ただ、そこには企業や消費者の止めどなき価格低下圧力が存在していることが価格競争を加速させる要因であると考えます。

 

確かに、消費者からすれば給与の伸びが期待できない上に先行きが不透明な現代において、価格は安いに超したことはありません。特に価格以外に差別化要因の少ないコモディティ商品ならなおさらです。そして、消費者がより安いものを求めるならば、企業はよりやすく製品を提供するために製造原価や経費を下げることに腐心します。つまりコストカットの嵐が吹き荒れるわけです。

企業単体の業績を考えるのであれば、コストは小さく原価も低いほどよいでしょう。でも、カットしたコストや原価はいままではどこかの企業や誰かの収入だったはずです。つまり、コストカットが行われた裏にはその分だけ収益が減った存在あるはずです。この連鎖が大きくなるほど、全体の経済規模は縮小するので全体としては景気が停滞することになります。いわゆる「合成の誤謬」です。

 

バブル期にもどれとはいわないですが、「金は天下の回りもの」でありこの「お金の回転率」をあげることこそが経済の活性化には重要だと思うのです。1000兆円もの個人金融資産がありながら、それらが老々相続されて動かないのには、「自分のところからお金を支出したらもう戻ってこない」と国民が思っているからに他なりません。

日本人が「空気を読む」ことに長けているのだとするならば、「お金を支出すればするほど、回り回って収入として入ってくる」という空気を醸成することがいまの日本に求められているのではないかと感じます。

だから私は、自己投資という理屈がつく限りにおいては、なるべく惜しみなくお金を使っていこうと思うのです。

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