真の第三次産業化

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前回の記事を書きながら気づいたことについて補足を。

IT企業がクラウド化の推進を行うことは、第二次産業から第三次産業への転換だと書きましたが、じつは元となる第二次産業が通常とは異なる特性を持っています。

第二次産業の典型例は製造業ですが、これの持つ特徴は設備産業だということです。そして、設備産業の特徴は事業を始めるに際して大規模投資が必要なため損益分岐点を超えるまでが長くなることです。その代わり、損益分岐点を超えると大きな収益を上げます。また、資金が必要なので参入障壁が高いことも特徴です。
ところが、IT企業のうちシステムを作成するシステムインテグレータと呼ばれる企業は設備を持ちません。したがって、事業開始においてかかるイニシャルコストが低いですから、適切な従業員数をコントロールできている限りにおいては、損益分岐点を超えることは相対的に簡単です。その代わり、損益分岐点を超えて大幅な利益をあげることは出来ません。なぜなら、設備産業において設備の稼働率をあげるのに比べると、システムを作る人間の稼働率を上げることが難しいからです。稼働率を上げれば上げるほど、賃金という名のコスト(しかも残業なら割り増し)も増大するので収益が大きく上ぶれすることはありません。

その面においては、システムインテグレータという業態はすでに限りなく第三次産業に近い特性を持っていたのです。とするならば、前回の記事のタイトルは「クラウド化とはITの『真の』第三次産業化」とでもするのが正しかったかもしれません。

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